パート3からの続きです。パート3はこちらから。
ラノベ出版編集者が質問に答えた中で
役に立ちそうな回答をまとめました。随時更新します。(ご本人の許可を取っています)
ご回答者は 講談社ラノベ文庫 シゲタさんです。ラノベ新人賞の総括をされています。
シゲタさんのツイッターhttps://twitter.com/shigetayuu
一年前の記事は今のラノベ業界を反映していない可能性があります。
2018年の質問と回答をまとめました。
※質問箱のまま記入していますので、質問は表現が適切で無い場合がございます。
質問と回答
そんなに新人賞作品は売れないものなのですか?やはり時代による影響もあるのでしょうか?
また、それは今後改善されますでしょうか?
講談社ラノベ文庫 シゲタさん回答
かつてラノベ業界には、「受賞作なら読んでみよう!」という動線があったらしいですが、維持できてるレーベルは限られています。
僕なんかは弊社の新人賞に過度なバリューを感じていないので、帯の受賞ワッペンを極力小さくして、作品自体の魅力を謳えるキャッチを書くことに重きをおいています。
後段。改善されますと僕の立場なら言うしかないですよね。
現に改善されるように、受賞作の信用度を高められるように草の根活動をしているわけですから。
これムリやで、と思いながら一生懸命働くのって、とってもしんどいと思うのです。ワンチャンいけるで!って思ってたいです。
ラノベで食っていく最短の道は何ですか?
一人でも多くの人と分かり合うために、自身の中で大切に培ってきた主義をまげてでも生き残りたいと思うことだと考えます。
シゲタさん、30歳過ぎてからの受賞は難しいですか?
作品次第です。
起承転結と三幕構成の違いがよく分かりません。
またどちらがラノベと相性がいいとシゲタさんは思いますか?
どちらもいいとは思っていません。起承転結承転結起ぐらいのことを冒頭から100ページ(賞のフォーマットだと50枚くらい)で実現出来たらいいなぁとは個人的に考えていますが、僕が担当についたら一緒に悩むので、さしあたり考えなくて結構です。
応募作品のあらすじって重要ですか?例えばあらすじで惹かれなかったら評価下がるみたいなことありますか?
数百本の作品の中でその作品がどういう筋書きなのか判別できねばなりませんから極めて重要ですが、選考を左右するということはありません。
シゲタさんは締め切りの催促をしたりしますか?
勝手なイメージですが、編集さんって電話かけまくる印象があります。
イラストレーターさんには、人によってはけっこうな頻度で電話することもありますが、作家さんにはあんまりないです。だいたい、原稿が完成稿近くなってから刊行予定を立てて、そこから各工程の締切が発生するという順番なので。
ちなみにシゲタさんは選考中、あらすじで惹かれたことはありますか?
多分ないんじゃないかなと思います。僕は本文読んじゃって、あとで振り返って全体の審査をしようというときにあらすじを活用しますので。
これまでの傾向を見るに生半可な作品ではヒットは飛ばせない感じですか?
生半可じゃもちろんダメですが、状況は常に動き続けているので、傾向もあてになりません。
日常的に、読みや意味を間違えて使用される言葉はいくらでもありますが、それが小説にも使用されていることについてはどう思いますか?
より多くの読者としっかりコンセンサス取れてれば問題ないと考えます。引っかかりを覚えてしまい読み味が損なわれるのであれば問題です。
言葉というものは、変えようとする力と変えまいとする力がせめぎ合って、いい感じのところに落ち着くもので、常に揺れ動いています。
これまで一つの作品だけしか書き上げたことがありません。作家になれば、次々に作品を求められる
のだろうと想像いたします。しかし、もう出し尽くしてしまい書ける気がしません。
勿論、たくさんの本をだして、お金を稼ぎたいのですが、この作品でデビューして消えてもいいとも考えています。
以前に、可能性に対して賞を与えている。とあったと思うのですが、今後に期待できない場合は、賞を与えることはないのでしょうか?
その通りです。
賞金と、選考や本の刊行コストを一冊の文庫本だけで回収するのはなかなか難しいことですので、「デビューして消えてもいい」というお覚悟は「出版社に損失をもたらしてもいい」と同義です。我々も期待を抱くことが難しいです。
なぜ出版社には作家を社員にする文化が根付かなかったのでしょうか。
トータルでの費用対効果が悪いと判断した人が歴史的に多かったからではないかと思います。
いわゆる青春モノの良さってどこにあると思いますか?
「憧れ」だと思います。
僕が思春期の頃は、「こんな青春してみてぇ~」と思って何なら新学期が楽しみになるくらいのエネルギーもらってました。おっさんになってからは、実際そんな青春は送れてないにも拘らず、快いノスタルジーを感じたりもします。
シゲタさんは公募作品を使い回すことをどのようにお考えですか?
A賞では二次落ちがB賞で大賞だったっていう稀なケースを応募者が都合よく解釈してる気がします。
何ら問題ないと考えています。
人によってもレーベルによっても刺さる刺さらないはありますし、成功するための機会を多く持とうと考えるのは至極まっとうなことだと思います。
ただ、理由はどうあれ、一度は誰かに刺さらなかった原稿である、ということ自体は認識しておくべきだと思います。
下記からパート5へ。
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