パート2からの続きです。パート2はこちらから。
ラノベ出版編集者が質問に答えた中で
役に立ちそうな回答をまとめました。随時更新します。(ご本人の許可を取っています)
ご回答者は 講談社ラノベ文庫 シゲタさんです。ラノベ新人賞の総括をされています。
シゲタさんのツイッターhttps://twitter.com/shigetayuu
一年前の記事は今のラノベ業界を反映していない可能性があります。
2018年の質問と回答をまとめました。
※質問箱のまま記入していますので、質問は表現が適切で無い場合がございます。
質問と回答
売り上げに関してどの程度が凄いのか、いまいち分からないのでシゲタさんのイメージをざっくり教えて下さい。単巻一万部、三万部、十万部、百万部。
それぞれ評価を教えてください。
講談社ラノベ文庫 シゲタさん回答
そもそも「売上何万部」という言い方自体をしません。何万部という場合は刷り部数です。刷り部数として回答すると、
1万…ほっとする
3万…大喜びする
10万…臆面もなくドヤれる
100万…意味不明
という感じですかね。
発行部数がどのくらいだったら三巻に達しますか?
タイミングなどみて販売がどう判断するか次第なので単純な指標は示せませんが、めちゃくちゃ乱暴な目安として、1巻が1ヵ月で1万2000くらい行っていれば行けるんじゃないでしょうか。
新人賞受賞に、作者の年齢は関係しますか?
作家は長いこと書いてもらいたいから、わかければ若い方が良いとネットで見ました。
ですが、売れなくて、出版できなくなる作家の方が圧倒的に多い今もそういう風習はあるのか知りたいです。
構成力や語彙力を鍛えるには、ヒットしている作品を読むこと、ということですが。
ただよんでいるだけでいいのでしょうか?
それとも起承転結を意識して、ここは「転」だな。とか考えながら読んだ方がいいんでしょうか?
僕は読むだけでよくて、最も重要なのは、量だと考えています。蓄積して自分の血肉にしてほしいです。その上で分析することも勉強になると思います。
ザリガニって鯖を毎日与え続けると青くなりますが、一日だけエサを鯖にしても青くはならないんです。
……違いますね。これは違う話ですね。
いわゆる王道と言われる作品、あまり既存にはない尖った作品、
求めているのはどちらでしょうか?
その両方を過不足なく満たしている作品です。
作家として、一つのジャンルにこだわり書く人と、多くのジャンルを書ける人、どちらの方が好ましいでしょうか?
多くのジャンルを書こうとする人の方が先々よいのではないかと思います。特に好む好まないはありません。
物語が始ってあまり間をおかず、読者が好きになって感情移入しやすくする。
というところで、始ってあまり間をおかず、とはプロローグまでで魅力を伝えろ。ということでしょうか?
それとも、1,2章までで魅力を伝えることが出来ればいいのでしょうか?
理想は1行目です。
それくらいの緊張感で臨んで頂きたいですがさすがに難しかろうとは思いますので、もう少し待ちますが、2章でようやく面白くなるのでは遅すぎると思います。
二本良作が出来たらどちらも受賞しますか?前例がないので一応確認しておきます。
どちらも受賞します。
複数本大賞出したらその次の回は、経理かどこかからか何か言われて自重するかもしれません。
編集者が思う『担当の本が売れる時期』に本を発売するために全作業が終了しても『その時を待つ』ということはありますか?
ある場合作家に『今はジッと待ってくれ。時期が悪いんだ』と言いますか?
あり得ます。というか僕は実際に言っていることがあります。
ただ、「ジッと待て」とは言いません。待ってる間にもう一作作ったり、ノベライズ仕事を打診してみたりしています。本が刊行されないと印税は支払われないわけで、それは死活問題ですから。
続刊出せなくなった作家さんはたくさんいらっしゃると思うのですが、
そうゆう方たちにシゲタさんの方からアプローチすることはありますか?
ノベライズ等の打診を除けば、ありません。
新人作家さんでも語句の誤用や基本的なルール(段落初めは一文字空けるなど)
ができていない人っていますか?
逆に言えばそういう人も新人作家としてデビューする可能性はありますか?
います。受賞→デビューの可能性は十分にあります。
ルールといっても怪しいものです。例えば「…」または「―」だけのセリフの際は2つでなく4つにするのが基本的な「ルール」なんですが、2つの人がかなり多いですし、最近は刊行されてる本でも2つをよく見るので、廃れてきてるのでしょう。
続編出なくなった新人賞受賞作家さんから連絡来たら嬉しいですか?
次作の構想についての打診とか
特段、嬉しくも悲しくもないですが、強いて言うと、頼もしいと思います。
僕がこの人才能あると思って担当についた方ですし、正直売れなかった原因が全て作品にあるとは僕は考えてなくて忸怩たる思いだったりしますので、めげずに戦おうとしてくださる姿勢は極めて頼もしいです。
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