パート1からの続きです。パート1はこちらから。
ラノベ出版編集者が質問に答えた中で
役に立ちそうな回答をまとめました。随時更新します。(ご本人の許可を取っています)
ご回答者は 講談社ラノベ文庫 シゲタさんです。ラノベ新人賞の総括をされています。
シゲタさんのツイッターhttps://twitter.com/shigetayuu
一年前の記事は今のラノベ業界を反映していない可能性があります。
2018年の質問と回答をまとめました。
※質問箱のまま記入していますので、質問は表現が適切で無い場合がございます。
質問と回答
ラノベ三年縛りの質問
新人賞を受賞した作家は三年間、他レーベルで作品が書けない、みたいな話題をツイッターで目にしました。シゲタさん的にはどうでしょう?
三年間は、他レーベルに書いて欲しくないとお考えですか?
また、可能であれば講談社ラノベ文庫全体としての意見もお聞かせいただければと思います。
講談社ラノベ文庫 シゲタさん回答
まず質問の回答です。僕個人もレーベルも全く気にしません。いつどこで何書いて頂いても構いません。
僕個人について補足です。「書くな」と言う筋合いにないというのが一点。ちゃんと良好な関係を築けていれば、他社で花開いた後また僕と仕事してくれるかもしれないからというのが一点です。
版元は作家さんに投資をします。賞の賞金が分かりやすいですが、担当の労力と人件費も投資しています。
それを作品で回収したいわけですが、それこそ担当の人件費が乗る以上、単純な方程式は組めません。回収といっても、\大ヒット!/みたいな漠然としたものです。
回収の目標値は具体的に定められないのですから、本音を言えば「3年と言わず一生頑張ってほしい」になりますが、そんな非道で厚顔無恥なことを表明できるわけがありません。よって「3年頑張ってみる」という落としどころが生まれたものと考えます。開花しなかった際の言い訳にもなりそうです。
縛るからには対価を払わねばなりません。「俺たちが責任を持つ!」というやつです。これが専属契約まで行くと不履行の際にとことん追及せねばならず大変なので、暗黙の了解に留めるのが穏当でしょう。
しかし不甲斐ない話。市況の変化で、3年でも責任を持ち続けるのが難しくなってしまいました。
それと、「3年経ってない作家さんを引き取る側」も、早々に元の編集部とトラブルを起こしたかもしれない方は避けたいと考え、それが抑止力になっていたと思われます。でも今や、もしかしたら自分たちが苦労をするかもしれないと危惧したとしても、才能をみすみす逃すわけにはいきません。
対価も出せない抑止力もないではもう制度として崩壊してるんですが、そもそも制度じゃないのが厄介なところで、作家さん版元双方に引きずっている人がいるのが現状だと思います。
全く別の話として、3年は一つ所で腰を据えて望むべしとの考え方もあり、それはそれで頷けるところもあると思います。
新人賞は基本一巻完結が前提だとよく聞くのですが、市販のシリーズ物第一巻の様に、複線を残した構成だと減点の対象になるのでしょうか?
「完結」の定義が違います。市販のシリーズものの一巻は完結しています。
一冊の本として読んで、読者が大満足できる形にしてください。
八百文字以内のあらすじは終わりまで書いた方がいいでしょうか。
それとも書籍化されているような方がいいでしょうか。
終わりまで書いてください。期待を煽ったり、美しい文章である必要はなく、箇条書きでも構いません。
要項に定義も交えて書かにゃならんかなと思ってます。ごくたまにですが、「前回のあらすじ!」的なものが書かれていて、本文がその続きからいきなり始まるような作品がありますので。
作品の内容が面白ければ、ある程度誤字脱字は許容されますか?後から修正効きますし。
もちろんです。
受賞しても多くの場合しっかり改稿することになりますし、校閲通した後の著者校正作業なども含めて、もううんざりするほど修正できますのでご安心ください。
ラノベ作家が一番努力をするべきことってなんだと思いますか?
ラノベを書くことだと思います。
漫画のようなストーリーは、ラノベとしてはどうなのでしょうか?
(例、ナルトが漫画ではなく、ラノベで応募されていたら?文章力は、基準を満たしているとして)
最高だと思います。序盤に漫画1話目相当の盛り上がりどころもあり、コミカライズが容易ですし。
新人賞の下読みってどうやったらなれますか?
うちは各編集が窓口になって各々知っている人にお願いしていますので、編集と知り合いになったらなれるかもしれません。
面白い本、漫画、映画などの多くに共通していることって何だと思いますか?やっぱりキャラクターの良さですか?
キャラクターの良さだと僕も思います。
エンタメがあまりに身近になり、例えば本格ミステリのような「200ページ読んだら超面白い!」という作品は敬遠されがちです。
1ページ目から面白くて追っかけてみたくなる主人公を用意することで、200ページまで読ませることが初めて可能になると考えます。
以下からパート3へ。
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