悠木シュン 小説新人賞を獲りたい人への講座 パート7

悠木シュンの心が折れないブログ

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こんにちは。

第35回小説推理新人賞を受賞し、作家デビューした悠木シュンです。

パート①7つのポイント 、②新人賞のタブー③物語の作り方 ④リライトについて⑤短編賞のメリットデメリット ⑥独白体について⑦厳選5つのポイント ⑧質問&回答 ⑨質問&回答⑩質問&回答

まで講座を書きました。

 

今回は、あとちょっとここをこうしたらもっとよくなる、というポイントをご紹介させていただきます。

 

「小説を書く際に一番注意する点はどこですか?」というご質問をよく受けますが、一つにしぼるのは難しいです。

 

そこで、数ある小説の作法の中から五つ厳選させていただきました。

 

近々投稿する作品があれば、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

また、これから新しく書く作品にも役に立つと思います。

小説を応募する際、自信満々で送り出したいですよね?

今からご紹介する5つのポイントさえ押さえておけば、今までの結果を上回ることは間違いなしです。

5つのポイント

 書き出だしの一行に命をかけろ

 

これは、大学入試の小論文などでも大事だと言われていますが、最初の一行で読み手の心をぐっとつかまないと他の作品と同様に流し読みされてしまいます。

 

川端康成の「雪国」や太宰治の「人間失格」や夏目漱石の「吾輩は猫である」など、名作の書き出しは名文と言われています。

 

これから何が起きるんだろう?とワクワクさせるような一文を持ってきてください。

 

 冒頭に日常を持ってくるな

 

ミステリーの場合、「冒頭に死体を転がせ」と言いますが、それは他のジャンルでも同じです。それくらい、インパクトのあるシーンから始めたほうがいいということです。

目覚めてから身支度をするだけのシーンとか、ただ家族でご飯を食べているシーンから始まるのは避けましょう。

たとえば、目覚めてすぐ性別が変わっていたとか、いつもお父さんが座っているはずの席に見知らぬ男が座っていたとか、それくらいのインパクトがあれば話は別ですが、何も起きない日常から始まるのはよくありません。

 

あと、主人公の夢や妄想から入るのもよくないです。

それから、ポエムのようなプロローグから入るのもよくないです。

そのシーンが本当に必要か、もう一度よく考えてみてください。

 

 読点に気をつけろ

Web小説で書くこと、読むことに慣れていると、どうしても読点が少なくなりがちです。

Twitterの文字制限や、LINEのスピードに慣れてしまったことも原因かもしれませんが、きちんと読点を打つ意識を持ってください。

あまりに意識しすぎて先に進めない、という方は書き上げてから推敲する際に打てばいいので、最初は気にせず物語を書くことに集中してください。

 

会話文は誰の言葉かわかるように

長い会話のシーンが続くと、誰が話しているセリフなのか読者には伝わりづらいものです。セリフのあとに、「と言った。」と書く人がいますが、鍵カッコをつけている時点で誰かが〝言った〟ことには変わりはないのですから「と言った。」は不要です。

 

「言う」には、色んな種類がありますね。

漏らす、放つ、吐くなど。

(類語辞典のシソーラスを使うと便利です)

 

たとえば、「〇〇がまくし立てた」や「○○が嗚咽交じりにつぶやいた」などと一文を添えると、読者にはより伝わります。

全部に入れる必要はありません。

 

また、主人公の感情なども入れると文章全体が魅力的になります。

 

そして、本当にそのセリフは必要なのかもう一度考えてください。

意味のないオウム返しや、意味のない叫び声や溜め息もカットしましょう。

 

文末を意識しろ

状況を詳しく書こうとすると、無意識のうちに文末がずっと「~だった。」の連続になっていることがあります。

これは、間延びした感じで文章が生きてきません。

それから、歌詞のような体言止めが多いのもよくありません。

文章が単調になり、リズムが悪くなってしまうからです。

体言止めとは、文末が名詞で終わっている文章のことを言います。

 

例文1

ずっとエースでセンターを努めてきたA子が今期で引退。

これは、グループにとって大きな痛手。

運営側は、次世代を担うエースを育てるのに必死。

※全ての文末が体言止めになっています。

 

文章がぶつ切れでリズムが悪いですね。

 

例文2

ずっとエースでセンターを努めてきたA子が今期で引退。

これはグループにとって大きな痛手となるだろう。

運営側は、次世代を担うエースを育てるのに必死になっている。

 

※いかがでしょう?

リズムが出たことにより、文章も伝わりやすくなったと思います。

体言止めは、情報量が少ないため余韻を残してくれる効果があります。

うまく配置してやることがポイントです。

では、文末に注意して以下の文章を比較してみましょう。

 

例文A

カフェテリアの窓際の席から、そのビルを見上げるように眺めていた。

第三ビルは、どこにでもある複数のテナントが入った雑居ビルで、自殺の名所でもなんでもなかった。

裏通りとはいえ、駅から十分の場所にあり人通りもまばらだった。

ひとつまちがえば、通行人が巻き込まれてもおかしくない状況だった。

 

「~いた。」「~った。」「~だった。」「~だった。」と、全て「~た。」で終わっているのがおわかりでしょうか。

単調でリズムが悪いですよね。

 

この文章の文末を以下のように変えてみるといかがでしょう。

 

例文B

カフェテリアの窓際の席から、そのビルを見上げるように眺めていた。

第三ビルは、どこにでもある複数のテナントが入った雑居ビルで、自殺の名所でもなんでもない。

裏通りとはいえ、駅から十分の場所にあり人通りもまばら。

ひとつまちがえば、通行人が巻き込まれてもおかしくない状況だった。

 

「~いた。」「~ない。」「まばら。」「~だった。」

体言止めを入れたり、否定文を入れることで文章に抑揚が出たように感じませんか?

なかなか、文末まで意識が回らないかと思いますが、読み心地のいい小説の文末は、きちんと工夫されています。

口に出して読んでみることで、リズムのいい文章かわかると思います。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

上記の5つのポイントは、プロになった今も私が気を付けていることです。

覚えておいて損はないと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

ご質問やご感想などは、Twitterのほうで受け付けております。

次回の内容は、まだ決めておりませんので「こういうこと教えて、知りたい」などありましたら遠慮せずにDМを送ってきてください。

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